◇努力の選手だったジーコの狙い
父と兄3人をプロサッカー選手に持ち技術的に高い環境で育ったジーコは、13才のフラメンゴ入団後、本格的な肉体改造を始め、強靱な体を作った。23才のブラジル代表時にはフリーキックの名手となっていた。
プレースタイルは世界最高のパスの正確さで、前線の選手、背後から飛び出す選手へ絶妙のタイミングで正確無比なパスを配給した。
中田が海外に渡り、当たり負けしなくなったのも、世界レベルでプレーするにはフィジカル面の強さが最低限の条件だと知ったからであり、それに足る体を作った事は個人の努力の賜物(たまもの)ではないだろうか?
また、俊輔の左からのフリーキックの正確さは中学時の監督も認める練習量の賜物だった。
ジーコの方針は自身の経験からくる「自由主義」だが、信頼を置いたこの二人の努力を知り、他の選手にも自己管理の責任を持たせたかったのではないだろうか?
今朝の朝日新聞で、ドイツでの移動時に携帯ゲームに興じる選手もいたと紹介されていたが、ジーコの自由主義はそういうことを認めることが目的ではないし、中田が憤慨して指摘した精神的に「闘っていない」というのは、そういう心の体制を指していたと考えられる。
練習に裏打ちされた精神面の強さと、国代表という責任感の強さを、ジーコが求めたに違いないという裏付けとして、セレソンに選ばれるだけでも英雄だが、その上にあぐらをかくような選手は決して選ばれないブラジル・サッカーの歴史があるからだ。
◇個人技の差
同じく朝日新聞でトルシエさんは「判断力不足」と指摘している。DF宮本は以前は判断が必要な際に監督を見て指示を仰いだが今は違い自分で決定しているとサッカーの質の向上を紹介している。わたしは、これが本当の個人技ではないかと考えたい。
各評論は「個人技の差」だけで日本サッカーの今を片付けてしまったが、その評論者はW杯に出る前の世代の全日本代表選手が目立つ。
今となっては彼らが今の代表よりも「個人技」に優っていたのかは不明だが、この「個人技」という言葉には残念ながら具体的指摘が見られない。
同じく今日の朝日新聞の地方面に頼もしい記事を見つけた。
埼玉県サッカー協会専務理事・横山謙三さんのコメントだ。坪井・三都主を褒め、小野を気遣い、中沢を讃えた上で、
「64年の東京五輪をきっかけに近代サッカーの指導体制が普及したが、清水はうまく流れに乗って※正しく教える指導者を育てて、たくさんの代表選手を輩出した。最近は、千葉や九州にも良い指導者がいる。」と前置きし、埼玉出身が中沢だけであることについて
「埼玉は指導者養成を怠っていた部分はある。今後の柱になる課題だ」と指導者養成が原因だと名言している。
そして、「日本はバイタルエリアでのプレーが少なく、ブラジルはそこでのボール回しからの得点がすばらしかった」と戦術面で足りない部分、「シュートの意識がたりなかった」と精神面の弱さを指摘している。
※奇しくも、正しい教育と言ったバレンタイン監督に通じる
サッカーを部活で少しやったこともあるバスケマンとして言えるのは、そのバイタルエリアでのヒールキックやスルーといった技術は必然的に生まれた技術であり、バスケのノールックパスとは一線を画して解釈するべきだと思ってきた。つまり、それがなければ今の時代のサッカーでは得点は難しいということだ。うまい下手の違いがあれども、その地域での攻防の仕方を経験しなければ防御も出来ず、攻め切ることも出来ない。
本並さんが今朝のテレビ番組で「Jリーグからの見直しが必要だ」と言って締めくくったが、こういったサッカーの闘い方の質のことを言っていたのかも知れない。
岡田元全日本監督が8年前にW杯で敗れた時に「この先20〜30年はごまかしながらやっていくしかない」という言葉を残している。相手の良さを出させないように相手に応じた戦い方を指すようだ。
そして、世界のサッカー界が、よりアグレッシブさを要求する流れにある中で、誤摩化しが利かないことはドイツで証明された。
◇バスケットボールでの個人技は?
さてバスケではどうだろうか?「個人技」では、俊敏性とくに横の動きなどは2mを超す外国選手のレベルに比べて優っていると言われている。
パブリセビッチ監督は3年掛けて徹底的にバスケットに必要な下半身の強さとフットワーク練習を強いた。全ての動きに通じるボールコントロールしながらの鬼ごっこも多用した。
わたしが環境として日本バスケに足りないと考えるのは、シュート練習の場と時間だ。
ヨーロッパでは2mの選手が普通にスリーを撃ち、平然と決める。それも一本二本の話ではない。
NBAオールスターでの初代スリーポイントコンテスト王で3連覇(2だったろうか?)したラリー・バードは毎試合前に500本のシュート練習をしたそうだ。日本にエキシビジョンマッチで訪れたカリーム・アブドル・ジャバーも試合前には観衆の前で一人だけでのフックシュートの練習をしながらフィーリングを確認するのを目にしたことがある。
サッカーと違い、シュートの意識が低くてバスケをする人は稀だ。パスが回ってくるようなら1分に1度は誰しもがシュートできる可能性のあるバスケットにおいて、シュートに遠慮するプレーヤーはチームオーダーでも無い限りはいないと考えられる。
しかし、ミニバスケット、小中高の部活、その中でチーム合同練習の時間は取っても、シュート練習の時間を毎日1時間取るような練習スタイルを取っている指導者はどれだけいるだろうか?いつの間にかシュート練習時間が少なくなっているハズだ。
サッカーはミスのくり返しの競技だが、バスケットはそのミスの回数の差が試合の行方を握る競技、すなわちシュートを確実に入れ続けることを要求される競技なのだ。パブリセビッチ監督が全幅の信頼を寄せる折茂選手が長く日本バスケット界のシューターとして君臨してきたが、それではいけないのである。バスケットをするプレーヤー全員がシューターでなければ、身長が圧倒的に劣る日本が得点を入れ続ける戦略を見付けることは非常に難しいのだ。
◇シュートの指導
バスケットにおける指導者養成の実態を簡単に紹介する。
日本バスケットボール協会は、日本体育協会の「公認スポーツ指導者の資格付与制度」に準じて指導者養成に対応してきたとしている。
http://www.jabba-net.com/jabba/data/paper/data_c_01.html
が、実際は「JABBA公認コーチの資格取得のための専門科目講習会の開催を都道府県バスケットボール協会に委託し、受講者の確保を目指す。」としている。言ってしまえば、任せっぱなしである。
わたしの所属する埼玉県で資格を取ろうとした場合に、サイトを覗いても案内がない。
http://saitama.jabba-net.com/
他府県のサイトを少し覗いてみても、講習会の日程がおもむろに発表されているだけで、どういう人に受けてもらう必要があるかなどの説明が一切されていない・・・結局、全国にこれらの資格を持つ人が何名いるのかすらわからない。
しかし、サッカーで武田さんがA級ライセンスを取るドキュメントをテレビでやったように、ラモス監督がビーチサッカー日本代表を率いたり、J監督になったように、指導者資格は今後バスケット界でも重要視していくことになるのではないだろうか?是非、資格取得の道を整備し、かつ指導指針をきちんと打ち出して欲しい。
絵に描いた餅になりつつある「日本のオリジナルなバスケットボール」を作り上げようというポーズだけでは、もう時すでに遅しである。サッカーのビジョンは、50年後にW杯で優勝するというものだが、なんと具体的ではないか!
日本バスケットボール協会の公認コーチ養成講習会講師陣が書いたとされる「バスケットボール指導教本」では、ジャンプシュートの解説は69ページで約四分の一ページを割いて解説されている。が、そのまま教えれば各プレーヤーがうまくフォームを作っていけるような説明量ではない。
ショートフォームの教え方すら一定でないならば、シューターとして世に出る選手は結局自己流か優秀なコーチによる指導しかないことになる。それでは、世界には太刀打ち出来ないのである。
わたしは、ボールハンドリングや、ドリブルなどに時間を割くのではなく、シュート率を向上させるための「シューティングフォーム改善クリニック」を推奨したい!
見る目を持った名シューターが、子供や生徒・学生そして社会人やバスケをやったことが無い人をも対象にシュートをうまく入れるコツを伝授して欲しいと考える。一億総シューター構想だ。
シュートが入れば、オールコートでのトランジッション中心のプレーではなく、フリースロー競争だけでバスケのシューティングの愉しさを共有できる!
そういった角度から「みる」スポーツとしてのバスケファンを作ることも裾野を広げて爆発に備える一助になると考える。
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